【ペグ回しの重要性については誰も語らない】
私が
見渡す限りチューナーを正しく使い、上手にペグを回しているユーザーは少ない。
チューニングにはペグの回し方も重要だという認識は持たれてないようです。
クラシックギター専門誌ですら取り上げない些細な事ですが根本的な問題なのです。
ペグは左手で回します。
右利きなら左手は不器用です。
実は左手でほんのちょっとだけ回すという事は難しいのです。
ということでチューナーの針を見ながら左手でほんの少し回す事は簡単ではないのです。
チューニングが上手いか下手かはペグの回し方から始まっています。
合わせるときは必ず一旦下げ巻き上げで合わせます。
決して下げながら合わせてはいけません。
多くのユーザーが躊躇いもなく音程を下げながらも合わせています。
ペグにより個体差がありますが「遊び」が必ずあります。
あの高級糸巻きのロジャースだって遊びはあります。
ペグ回しはストロボチューナーを使うと自然と上達します。
世の中便利なものでスマホアプリにもストロボチューナーはあります。
最近は市販の3000円以下のコルグのチューナーでもストロボモード(FINE)に切り替えられるものもあります。
お店にいると「チューナーの針が止まらない!不良品じゃないか?」と言われることがあります。
【針のブレは倍音による仕業】
変則チューニングさえしなければ6弦の解放はミ。
人には6弦の解放は基音のミが聞こえる。
同時に4F,5F,7F,12Fなどのハーモニクス(倍音)も鳴っているが多くのユーザーには認識されない。
聴こうと思えば聴こえる。
しかし、チューナーにはハーモニクスはよく認識されている。
プログラムで一番低い基音に反応するように出来ているがそうは行かない場合もある。
要はチューナーも倍音を含めどの音で判断したらよいか迷っているのです。
【ここからハーモニックスについて】
例えば7Fのハーモニクスを鳴らすときは同じ音が出る19F上では弾いてはならない。
よく言われる事です。
では、普通に開放弦を19Fないし7F上を弾いた場合どうなるか?
3倍音(シ)が含まれていない6弦のミになる。
ハーモニクスの支点で弾くとハーモニクスは出ない。
開放弦でも同じことが言えるのです。
【チューナーを迷わさないためにも】
チューナーは合わせたい弦の基音以外にも倍音や共鳴を感じ取り判断している。
基音以外の音が増えれば増えるほど迷うのです。
他の弦の消音はもちろんのこと、その弦からの倍音をなるべく出さないに尽きるのです。
先程述べましたがハーモニクスの支点で弾けば支点となる倍音成分は減ります。
もちろん、合わせたい弦以外の5本の弦をミュートしておく必要はあります。
(これが出来ていないユーザーがかなり多いです)
【具体的にチューナーの針のブレを軽減させるには】
要は迷う要因を減らせばよいのです。
・12Fは2倍音の支点
・16Fは5倍音の支点
・ 19Fは3倍音の支点
他の弦をミュートして上記フレットの何れかを選んでその上でそっと柔らかい音て弾きます。
おすすめは16F。
5倍音抜きの音です。
腰の抜けた音がします。
倍音抜きの音色は演奏でも有効 なんです。
意図的に意識して使う名手もいます。
それでも針のブレは残ります。
立ち上がりの音はやや上がり、 一瞬待って少し落ち着いたタイミングで合わせます。
必ず巻き上げで行ってください。
その後減衰時に針がポロッと上がったり下がったりします。
この上がったり下がったりが無くなるポイントまで微調整できれば良いのですが・・・
出来ない場合は6本の弦を全てポロッと下がるにしてみると良いです。
要は許容範囲内で傾向を揃えることで6本のバランスが良くなります。
許容範囲内で高い低いが混在すると当然ながらずれ幅が大きいのです。
その他ナットを挟んで指板側とヘッド側のテンションのバランスを取るためにナットとヘッドの間の弦を軽く押すなどしてください。
今まで述べた事は、より正確にチューナー通りに合わせるための私なりのノウハウです。けっしてこれが 全てではありませんが、これができればかなり正確なチューニングが出来ると思います。
当然これだけでは上手くいきません。残りの要因はそのクラシックギターの設計、個体差とその次にお使いの弦の性格があります。その他、重要な要素に押弦するときのクセや平均律による独特の唸りなどがあります。一つづつクリアーしていくと見えてきます。